・将棋は観るだけで、指すのは苦手な方。棋戦に名勝負があるように、詰将棋にも「神局」と呼ばれる最高傑作があります。盤上の玉たった1枚から始まる「裸玉」。盤上を埋め尽くす駒たちが煙のように消えていく「煙詰」。611手の最長手数作品として200年間記録を破られることのなかった「寿」。本書の手順を参考に並べ、勝負とは一味違う妙手を堪能してみてください。
・故米長邦雄永世棋聖は「無双・図巧の200題を解けば必ず四段になれる」という言葉を遺しています。羽生善治先生を始め、現在のトッププロが若き日に挑戦してきました。短いものでは9手詰からあります。腕に覚えのある方は真っ向勝負してみてはいかがでしょうか(アマ初段を目指している本書編集担当は、まったく歯が立たず…)。
・江戸時代では、幕末になると年に1000点を超える本が出版されており、質・量ともに優れた出版文化が形成されておりました。当時の本は、現在でも一部の専門古書店で流通はしておりますが、一般の方々が目にする機会は少ないことと思います。浮世絵などに比べても関心は低く、これらが散逸してしまうことを懸念しています。そこで所蔵するコレクションを電子書籍化し、多くの方に手軽に「江戸の和本」に触れていただければと思い、本書を出版いたしました。実物から直接スキャンをしたことで、よりリアルにその雰囲気を味わっていただけると思います。本書をきっかけに「江戸の和本」に関心を持っていただければ幸いです。(※虫穴、かすれ、誤植などは画像処理しております。また、本書は本来、問題と手順の2冊で構成されておりますが、実用性を重視し、問題の次頁に手順となるよう再構成してありますことをご了解ください。)
『将棋図巧』
宝暦5年(1755年)に後の贈名人伊藤看寿によって、江戸幕府に献上された献上図式(詰将棋)。『将棋無双』と並ぶ詰将棋集の最高傑作と言われている。伊藤看寿の名は、現代においても、毎年優れた創作詰将棋作品に贈られる「看寿賞」としてその名を残している。
コメント