「ラザルス（Lazarus）」という言葉には、いくつかの主要な意味や参照される対象があります。代表的な3つの分野について解説します。
聖書・宗教における「ラザルス」
「ラザルス」は、新約聖書に登場する人物の名前で、キリスト教において「復活」や「蘇生」の象徴として非常に重要です。
ラザロの復活
イエス・キリストの友人であったベタニアのラザロは、病気で亡くなり、墓に葬られてから4日後に、イエスによって呼び出され生き返ったという奇跡のエピソード（ヨハネによる福音書）で知られています。
名前の語源
「ラザルス」は、ヘブライ語の「エルアザル」（神は助けた）がギリシア語化した名前「ラザロス」のラテン語形です。
この「復活」のイメージから、「ラザルス」は以下のような用語にも使われています。
ラザロ徴候/症候群
医療用語で、脳死状態と診断された患者が、人工呼吸器などを外した後に、自発的に手足を動かす現象を指します（あくまで脊髄反射であり、意識の回復ではない）。
ラザロ分類群（Lazarus taxon）
古生物学で、絶滅したと見なされていた生物種が、再び生きた状態で発見されたり、地層から見つかったりすることを指します。
ミュージカル『LAZARUS -ラザルス-』
「ラザルス」は、伝説的なロック・スターであるデヴィッド・ボウイが音楽と脚本に携わったミュージカルのタイトルとしても非常に有名です。これはボウイの遺作の一つとなりました。
概要
2015年にオフ・ブロードウェイで初演されました。ボウイが1976年の映画『地球に落ちて来た男』で演じた異星人トーマス・ニュートンの、その後の物語という設定です。
楽曲
ボウイの代表曲（「Heroes」「Life on Mars?」など）に加え、このミュージカルのために書き下ろされた新曲も使用されています。
日本公演
日本でも、白井晃さんの演出、松岡充さんの主演などで上演されています。
意味合い
聖書の「復活」のテーマが、地球に取り残された異星人ニュートンの「魂の救済」や「故郷へ還る望み」と重ね合わせられています。
サイバーセキュリティ：Lazarus Group（ラザルス・グループ）
現代のサイバーセキュリティ分野において、「ラザルス」は北朝鮮政府と関連があるとされるハッカー集団を指す固有名詞として、世界的に知られています。
別名
HIDDEN COBRA（ヒドゥン・コブラ）とも呼ばれます。
活動内容
世界中の金融機関（特に仮想通貨取引所）、政府機関、防衛産業などを標的としたサイバー攻撃、ランサムウェア攻撃、サイバースパイ活動などを長年にわたり行っているとされています。
目的
主に、資金獲得や、機密情報の窃取が目的と見られています。
有名な事例
2014年のソニー・ピクチャーズ・エンタテインメントへのハッキング事件や、バングラデシュ中央銀行の不正送金事件などへの関与が指摘されています。
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